研究課題/領域番号 |
09671363
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
宮入 剛 東京大学, 医学部・付属病院, 助手 (50302683)
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研究分担者 |
遠藤 宗幹 東京大学, 医学部・付属病院, 助手 (30312309)
小野 稔 東京大学, 医学部・付属病院, 助手 (40270871)
中島 淳 東京大学, 医学部・付属病院, 講師 (90188954)
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キーワード | 異種移植 / concordant / discordant / ニホンザル / ミニブタ / リンパ球サブセット |
研究概要 |
異種移植における拒絶反応の進行に関与する免疫学的因子及びそれぞれに対する免疫抑制法の効果につき検討した。 【方法】 ニホンザルをドナー、ヒヒをレシピエントする concordant 異種同所性左片肺実験を8例に対し行った。生存期間を延長させるため、脾摘・tacrolimus・methotrexateを併用した免疫抑制法を行った。異種移植の拒絶反応の機序を解析し免疫抑制法の効果を検討するため、抗種抗体価・リンパ球サブセットの変動を測定した。 次いで、ミニブタをドナー、ニホンザルをレシピエントとする discordant 異種異所性心移植実験を14例に行った。内11例は免疫抑制を行わず、拒絶反応によるドナー心停止後に組織を摘出し病理組織学的に検討した。また3例は脾摘・tacrolimusを併用した免疫抑制を行いレシピエント死亡後にドナー心の組織学的検討を行った。 【結果】 concordant 異種移植においては移植後末梢血リンパ球の全サブセットの増加が見られたがMethotrexate投与後速やかに減少し、各サブセットの比率には経過を通じ有意な変化は認めなかった。抗種抗体価は移植後5病日から増加し長期生存した例では10倍以上に急増した。剖検組織ではTcellの浸潤はほとんど見られずBcellの浸潤が経時的に増加が見られた。 Discordant異種移植では、11例中7例で6時間以上の生着を認めた。剖検組織では細胞浸潤を伴わない間質出血・浮腫・細胞構造の破壊を認めた。免疫抑制を行った例では、軽度のリンパ球浸潤とともに同様の超急性拒絶反応を認めた。 Discordant移植においては既存の自然抗体が拒絶反応の主体となるが、concordant異種移植においても抗種抗体の形成が拒絶反応の主幹となっていると考えられ、異種組織移植においては液性免疫の制御法の開発が必須と考えられた。
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