研究課題/領域番号 |
09671364
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田中 修 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (30251309)
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研究分担者 |
大塚 俊哉 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (80262004)
今中 和人 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (80282672)
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キーワード | 触覚センサー / 心筋の硬さ / 心筋保護 / Langendorf潅流 |
研究概要 |
触覚センサーは、物体はその硬さに応じた固有振動数を持つことから、固有振動数の測定によって物体の硬さを知ることを可能にした手法である。心臓外科領域において、心虚血時間中に心筋保護が適切かどうかは非常に重要な問題である。心筋保護不良であった心臓は非常に硬くなることが知られているが、この変化は大動脈遮断中から始まっている可能性がある。昨年は、雑種成犬で全身麻酔下で人工心肺を行ない、25℃で大動脈遮断、心筋保護液注入。左心室自由壁の心筋の硬さを測定した。心筋は心筋保護液注入後、20分から50分にかけて徐々に硬さが上昇し、それ以降はほぼplateauに達した。心筋保護液を追加注入すると直後は一時的に硬さが上昇するが、再び低下してbase1ineとほぼ同じ硬さに戻り、それ以降も追加注入直後は硬くなって20分程でbase1ineに戻ることを繰り返す。ただ傾向は一定しているが、硬さの数値は犬ごとの差が大きく、また早期に硬さが上昇した後心室細動に移行するケースがあり、extracoronary collateralの多寡のためにばらつきが起こった可能性があった。そこで本年は300g前後の雄のWisterラットの心臓を摘出して37℃でLangendorf潅流を行ない、心筋保護液を60cm水柱の圧で1分間注入して60分間心停止させ、その後再潅流する。この間の心筋の硬さの推移を観察した。 【結果】11頭で実験した。心筋保護液注入後、約30秒で心停止が得られ、その後注入継続中は硬さが上昇するが、注入終了後速やかに硬さは低下して12から15分でbasalineに達する。その後5分程度ほぼ一定の値を保った後、硬さはやや緩やかに上昇して10分程度で再び゙plateauに達する。この硬さはbasalineの1.5から2倍である。この状態になってから再潅流を行なっても、もはやno reflowの状態であり、心拍が再開されない。また心筋保護液を落下法で注入を試みても、redistributionされず、硬さは改善しないが、硬さが上昇する前なら、心筋保護液を落下法で再注入でき、硬さが改善するようである。各時点での心筋の状態、温度、心筋保護液の組成、注入スケジュールによる違いなどを今後検討する予定である。
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