1. 気管吻合が自動吻合で可能であるかその条件を検討するため、まずstaplerで気管吻合が可能で有るか検討した。雑種成犬20頭を用い、5気管軟骨輪切除の後、手縫い吻合群4-Opolyglactin(10頭)とstapler群(10頭)に分けて検討した。6ヶ月後、吻合部の状態について検討した結果、手縫い吻合群も、stapler吻合群も吻合部には不良肉芽等の形成はなく、staplerで吻合可能であることが証明された。 2. 転移性肺癌に対する手術適応として、1)原発巣が充分抑制されている。2)肺以外に転移巣を有さない、等が条件で、この場合、胸腔鏡は低侵襲であり、再切除も比較的容易に可能である。このような条件の基に胸腔鏡下部分切除法と通常開胸法の予後を検討した結果、胸腔鏡下部分切除と通常開胸による部分切除で予後に有意差がないことが判明した。 3. 転移性肺癌の治療を目的として、肺用マイクロウェーブプローベを作成し、その作用について検討した。1800Jで焼却径1.16±0.19cm、3600Jで焼却径1.57cmが得られ、Azan染色でも焼却範囲が確認され、有用であった。また、家兎移植可能VX2細胞を家兎の片肺に移植針で肺内に移植したところ、20例中5例に肺転移モデルが作成された。肺移植モデルによる各種実験が可能となった。 4. 末梢の診断未確定病変に対して従来行われていた葉切除前の楔状切除に変わり、胸腔鏡下に針生検し、術中迅速にて確診する方法を開発した。悪性腫瘍18例、良性腫瘍15例に適応した。通常使用する生検針は16Gx115mm(エースカット針)であり、腫瘤性病変より肉眼的にも良悪が診断できる生検材料を得ることが出来た。悪性腫瘍18例中15例(83.3%)が葉切除、楔状切除前に組織診断がなされた。良性腫瘍については5例中5例(100%)の正診率であった。本診断法の特異性は100%であり、感度は83.3%であり、楔状切除に必要な自動吻合器が不要になり有用と思われた。
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