当初計画していた家兎を用いて心筋梗塞を作成し、CO2レーザーで心筋に数個の穴をあける実験を行った。しかしながら、現有していたCO2レーザーが購入から10数年が経過しており設定された60Wの出力が実際は高々25Wまでしかなく、この出力では家兎の心筋に穴をあけることが出来ないことが判明した。このためCO2レーザーの修理を行い出力の回復を試たみが、購入以来10数年が経過しており部品が既に無く修理不可能ということであった。このため新たにCO2レーザーの関与手続きを現在行っているところである。このため当初の計画の変更を余儀なくされた。 家兎10羽を用いて全身麻酔下に開胸し心臓を露出、左前下行枝を結紮した。心電図ではSTの上昇が見られたが、一過性であり死後摘出した心臓の病理学的検討でも明らかな心筋梗塞の像が乏しく、今後、心筋梗塞作成のため冠動脈の結紮部位の検討が必要である。 さらに心筋梗塞作成家兎の長期生存を試みたが、現在までのところ呼吸管理に問題があり成功していない。 これらの問題を解決する方法として、家兎を成犬に変更することを考えている。4月からビ-グル犬を用いて、全身麻酔下に開胸し、左前下行枝のレベルで冠動脈を閉塞し、心筋梗塞を作成。CO2レーザーを用いて心筋に穴をあけた群とあけない群に分け、両者間でPETを用いて急性期での心筋血流量を測定する。さらには生存犬を作成し2ケ月後、同じく全身麻酔下に開胸し同様にPETにより慢性期での心筋血流量の測定を行う。その後、心筋を摘出し、免疫組織化学染色法を用いて血管新生の程度を検討する計画である。
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