研究概要 |
腰動脈clampによる脊髄虚血モデルで、FPCの変化する腰動脈とAdamkiewicz動脈(以下、A.動脈)との関係について検討した.ウサギ18羽を用い,左腎動脈以下の5〜6本の腰動脈(L2〜L7)を、1本づつ3分間、一時的にclampしてFPCの変化を観察した.FPCの波高が40%以下に下がるものを有意変化とし、A群とした.変化のないものは、隣り合う2本、あるいは3本の同時clampを行い、B群とした.また、各々の腰動脈を選択的に造影した.FPCの変化は18例、全例にみらた.A群は9例で1本の腰動脈clampでFPCの波高低下がみられた腰動脈が1本のみあり、その腰動脈のみからA.動脈を介して前脊髄動脈が造影された.B群は9例で、造影によりA.動脈を支配する1本の腰動脈が確認され、これを含む2本ないし3本の腰動脈群のclampでFPCが変化した.これら9組の動脈群のうち、7組では腰動脈間の側副血行の発達を認め、そのうち6組では、A.動脈を直接分岐する腰動脈の隣の腰動脈から前脊髄動脈が薄く造影された.また、B群の2例では、FPCが変化する動脈群がもう1組づつ存在し、それはA.動脈を直接分岐する腰動脈に隣接する頭側2本の腰動脈群であった. 1.腰動脈clampによるFPC波高の低下を観察することにより、A.動脈を直接分岐する腰動脈,あるいはこれを含む腰動脈群の同定が可能である. 2.FPCの変化からみるとウサギの脊髄血行においては、約半数ではA.動脈を直接分岐する腰動脈のほかに、これと隣接する腰動脈からの椎体外副血行が重要である. 3.少数例ではA.動脈以外の前根動脈の関与の可能性も考えられる.
|