研究概要 |
研究経過 平成9年度 【目的】HVJ-liposome法による生体内遺伝子導入法で肺組織にET-1geneを導入,ET-1を過剰発現することで誘発される病態を作成することを目的とした. 【方法】体重250g Wistar male ratを使用,遺伝子をliposome内に封入したHVJ-DNA-liposome complex(30μg)を作成HVJの膜融合能を用いてI群はβ-galactosidase gene,II群はDNAを含まないcontrol,III群はPrepro-endothelin-1 geneを気道と左肺動脈から投与した.投与後3日,7日,14日にratを犠牲死させて病理組織学的検討を行った。 【結果】I群で気管支上皮,II型肺胞上皮細胞,肺胞macrophageにβ-gal geneの発現が認められた.II群ではHIV-liposome導入に伴う肺組織の病理組織学的変化は認められなかった.III群では投与後3日目には単核球浸潤と膠原線維増加に伴う肺胞壁の肥厚が認められた.7,14日目にはさらに呼吸性細気管支,肺胞腔を閉塞する肉芽腫様の突出を伴った組織学的変化,Bronchiolitis Obliterans(OB,BOOP)に類似した病理組織像を呈した.経肺動脈投与群においては小肺動脈の中膜の肥厚が認められ,免疫組織染色でET-1の発現亢進が認められた. 【まとめ】これらの実験結果はendothelinがOBや肺高血圧の病態血圧の病態発生と進行に重要な役割を演じていることを示唆した.
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