研究概要 |
8週齢Wistar ratを用い術前照射の気管支形成術における吻合部創傷治癒に与える影響を検討した。放射線照射線量を10,20,30,40Gyの4群に分けて縦隔領域に一回照射した。更に照射後手術までの期間を各群で3,7,14,28日に分け,術後の治癒評価を術後3,7日に行った.吻合部治癒評価は吻合部の最大耐圧(bursting pressure)とその膜様部に含まれるhydroxyproline含有量およびHE染色により組織を検討した.bursting pressureは照射線量20Gyまでは非照射群と比較して差はなかったが30Gy以上では有意差を持って低下していた。照射から手術までの期間での違いを20Gyで検討すると照射後28日の手術では低下傾向であった.hydroxyproline含有量はcontrolよりも照射群で高値となり,各群間に有意差はなかった。組織学的にはbursting pressureが低いものは細胞外matrixの形成が低下していた.放射線照射による創傷治癒への影響は照射線量に比例して大きくなり、術前20Gy以下の一回照射で照射から手術までの期間が14日目までの手術ならば術後の吻合部創傷治癒には重大な影響は与えなかった.平成11年度には,術前化学療法との併用による影響を検討した.術前照射線量を20Gyとし化学療法の1日目に放射線照射を行った.CAV療法(CPA+ADM+Vinbrastin)あるいはPVP療法(CDDP+VP-16)と併用し,それぞれのプロトコールについて検討した.これまで我々が実験で用いてきた投与量で行った.創傷治癒は併用群がcontrolおよび化学療法単独群よりも障害されていた.化学療法よりも放射線療法の方が創傷治癒を障害した.
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