研究概要 |
(実験)ウサギの摘出肺(ex vivo rabbit lung model)を用い常温虚血の後,再灌流を行う.再灌流直後から肺動脈圧(灌流圧),気道内圧を連続的に測定する.また再灌流直後の肺の酸素化能および虚血前,再灌流1時間後の血中のET-1濃度およびNOx濃度,肺組織中のET-1レセプター密度を測定する. 1) ウサギの両肺を心臓と共に摘出し,保存庫内に36度で30分間保存する(常温虚血).その後小動物実験用呼吸器で換気を行いながら採取した静脈血で定量ポンプを用いて灌流するischemia群.これと摘出直後に灌流を行うcontrol群とを比較する. 2) 再灌流中の肺動脈圧(灌流圧),気道内圧を連続的に測定し,各測定時において,肺動,静脈血を採取する.血液は採取後血液ガス,Ht値を測定し,その後遠心分離し,血漿を測定まで-70度にて凍結保存する.血漿のET-1濃度は,radio immuno assay systemを用い測定し,NOx濃度はGriess法で測定する. 3) 再灌流1時間後に肺組織を採取し,直ちに液体窒素で凍結し,測定まで-70度にて凍結保存する.肺組織中のET-1レセプター密度および組織中の分布を,その組織の連続凍結切片を用い,quantitative in-vitro autoradiography techniqueにて測定する. (結果)平成9年度およびは平成10年度前期は,主に動物実験および血液関係の測定を行った. 摘出直後に灌流を行うcontrol群は,常温虚血(30分)の後再灌流を行ったischemia群に比べ灌流直後の肺の酸素化能は低く,灌流中の肺動脈圧,気道内圧は共に高かった.血中のET-1濃度は,control群では再灌流1時間後も虚血前と大きな変化はなかったが,ischemia群では虚血前に比べ,再灌流1時間後で有意に上昇した.NOx濃度は,ischemia群でcontrol群に比べ有意に低かった. 現在肺組織中のET-1レセプター密度の測定を続行中であり,測定終了後はさらに虚血中の換気条件および虚血前処置等について検討を行う予定である.
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