1997 年度実績報告書

心房細動の電気生理学的型分類に基づいた外科的治療法の確立と選択に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号	09671391
研究種目	基盤研究(C)
研究機関	岩手医科大学
研究代表者	八木葉子岩手医科大学, 医学部, 講師 (00159196)
研究分担者	瀬川郁夫岩手医科大学, 医学部, 講師 (50206611) 那須雅孝岩手医科大学, 医学部, 講師 (20180531) 千葉直樹岩手医科大学, 医学部, 助手 (80254754)
キーワード	心房細動 / 僧帽弁膜症 / maze手術 / アブレーション / マクロリエントリ- / 心表面マッピング / 細動波 / 興奮伝播
研究概要	心房細動は最もありふれた不整脈であるが、その発生機序はいまだ十分には解明されていない。最近はmaze手術などの外科治療も有効であることが臨床的に明らかとなり、治療指針確立には一層の理論的基盤解明が不可欠となっている。心房細動の機序は一様ではなく、また進行段階も様々でスペクトラムが広い。そこで、各種の基礎疾患や進行段階の状況に応じてどのような電気生理学的、病理組織学的特徴がみられるのか、それぞれに応じて最良の治療法は何か、を明確にして、特にいくつかの外科的治療法の適応と選択の基準を確立することを目標に、本研究を行ってきた。平成9年度は基礎心疾患に合併した慢性心房細動のうち、心房細動の合併率が最も高い基礎心疾患である僧帽弁膜症における心房細動発生の機序と特徴を明らかにし、機序に応じた新しい外科的アブレーション手術法を開発し、臨床応用も始めている。すなわち、単独僧帽弁膜症疾患の手術時に心房表面マッピング検査(フクダ電子製48チャンネル同時マッピング4回による右房48点、左房72点の計120点からの心房細動の心房表面興奮伝播図を作成)を74例に行い、心房細動回路マップ分析を行った。この結果、僧帽弁単独疾患では心房内興奮伝播電位波形分布をみると,心房の血行動態的負荷が軽度のうちは広範囲の心房表面が,とくに左房はほぼ全体が細動波の周期のばらつきの少ないマクロリエンリーを示唆する規則的波形分布を示した.そして負荷が増大するにしたがって不規則波形分布に移行したことから,心房内圧・容量負荷により心房壁が伸展することが心房細動の成因に最も関与していると考えられた。外科的治療としては僧帽弁治療による心房負荷軽減とマクロリエントリ-部位に対する外科的アブレーションのみを行うことで十分ではないか、と考えられた。さらに基礎的・臨床的追跡を行っている最中である。

研究成果

(8件)

すべてその他

すべて文献書誌 (8件)

[文献書誌] 八木葉子: "心房細動の外科治療 -maze手術の総括と今後の展望-" 心臓ペーシング. Vol.13, No.5,. 430-437 (1997)
[文献書誌] Yoko Yagi: "New Insights into the Mechanism of Chronic Atrial Fibrillation Combined with Isolated Mitral Disease and Possibility of Simple Surgical Ablation" Supplement to Circulation. 96・8. 1-451 (1997)
[文献書誌] 八木葉子: "僧帽弁形成とmaze同時手術後の遠隔期に血行動態と調律の推移が興味ある相関を呈したリウマチ性僧帽弁膜症の4症例" 心臓. 29・3. 40-43 (1997)
[文献書誌] 八木葉子: "心房細動-基礎から臨床まで <症例>薬物治療が困難で外科治療が有効であった症例" 循環科学Circulation Science. 17 .1. 40-43 (1997)
[文献書誌] Yoko Yagi: "HEMODYNAMIC PREDICTORS OF ATRIAL FUNCTION AFTER MAZE (III) PROCEDURE IN PATIENTS WITH CHRONIC ATRIAL FIBRILLATION ASSOCIATED WITH UNDERLYING STRUCTURAL HEART DISEASES - MITRAL VERSUS NONMITRAL DISEASES" Supplement to Circulation. 94 8. 1-721 (1996)
[文献書誌] Masataka Nasu: "Blood Stasis in Large Left Atrium after Maze Procedure" Supplement to Circulation. 96・8. 1-382 (1997)
[文献書誌] 八木葉子: "心房細動の外科手術 - maze手術" 特集心房細動のマネージメント, 6(651-656) (1996)
[文献書誌] 八木葉子: "内科総合誌 Medical Practice" 心房細動に対するMaze手術-理論と成績-, 2(804-5) (1997)

1997 年度 実績報告書

心房細動の電気生理学的型分類に基づいた外科的治療法の確立と選択に関する研究

研究代表者

八木 葉子 岩手医科大学, 医学部, 講師 (00159196)

研究成果

[文献書誌] 八木葉子: "心房細動の外科治療 -maze手術の総括と今後の展望-" 心臓ペーシング. Vol.13, No.5,. 430-437 (1997)

[文献書誌] Yoko Yagi: "New Insights into the Mechanism of Chronic Atrial Fibrillation Combined with Isolated Mitral Disease and Possibility of Simple Surgical Ablation" Supplement to Circulation. 96・8. 1-451 (1997)

[文献書誌] 八木葉子: "僧帽弁形成とmaze同時手術後の遠隔期に血行動態と調律の推移が興味ある相関を呈したリウマチ性僧帽弁膜症の4症例" 心臓. 29・3. 40-43 (1997)

[文献書誌] 八木葉子: "心房細動-基礎から臨床まで <症例>薬物治療が困難で外科治療が有効であった症例" 循環科学Circulation Science. 17 .1. 40-43 (1997)

[文献書誌] Yoko Yagi: "HEMODYNAMIC PREDICTORS OF ATRIAL FUNCTION AFTER MAZE (III) PROCEDURE IN PATIENTS WITH CHRONIC ATRIAL FIBRILLATION ASSOCIATED WITH UNDERLYING STRUCTURAL HEART DISEASES - MITRAL VERSUS NONMITRAL DISEASES" Supplement to Circulation. 94 8. 1-721 (1996)

[文献書誌] Masataka Nasu: "Blood Stasis in Large Left Atrium after Maze Procedure" Supplement to Circulation. 96・8. 1-382 (1997)

[文献書誌] 八木葉子: "心房細動の外科手術 - maze手術" 特集 心房細動のマネージメント, 6(651-656) (1996)

[文献書誌] 八木葉子: "内科総合誌 Medical Practice" 心房細動に対するMaze手術-理論と成績-, 2(804-5) (1997)

1997 年度実績報告書

八木葉子岩手医科大学, 医学部, 講師 (00159196)

[文献書誌] 八木葉子: "心房細動の外科手術 - maze手術" 特集心房細動のマネージメント, 6(651-656) (1996)