研究課題/領域番号 |
09671392
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
胸部外科学
|
研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
蘇原 泰則 自治医科大学, 医学部, 助教授 (60114097)
|
研究分担者 |
山口 勉 自治医科大学, 医学部, 助手 (30245071)
長谷川 剛 自治医科大学, 医学部, 助手 (10291634)
遠藤 俊輔 自治医科大学, 医学部, 講師 (10245037)
村山 史雄 自治医科大学, 医学部, 講師 (60200309)
|
研究期間 (年度) |
1997 – 1998
|
キーワード | 生体顕微鏡観察 / 腫瘍微小血管 / 癌肺転移 / 抗腫瘍リンパ球 / 免疫療法 |
研究概要 |
【目的】本研究は生体顕微鏡を用い、肺癌肺転移巣腫瘍微小血管の特性や抗腫瘍リンパ球の付着特性を明らかにすることによって、有効な癌免疫療法の開発を行うことを目的とする。 【実験方法】(1)平成9年度は佐藤肺癌肺転移巣の成立過程と腫瘍微小血管の特性を検討した。腹水で継代している佐藤肺癌を用い、その10^6個を尾静脈より静注することにより肺転移巣を作成し、この腫瘍微小循環像を生体顕微鏡で経時的に観察した。(2)平成10年度は、成熟肺転移巣を用い、これに対する無治療群、化学単独療法群、免疫単独療法群、化学療法併用免疫療法群などの間で、生存率、生体腫瘍微小循環像、末梢血リンパ球像などの比較を行った。 【実験成績】(1)尾静脈から静注された癌細胞は三つのスタイルで肺微小血管に停止した。91%は肺細動脈に押し込まれるように停止し、周囲血管壁から強いストレスを受けた。6%は肺細動脈に引っかかり、血流から強いストレスを受けた。3%は血漿に包まれる形で肺細動脈内に停止し、ストレスを回避することができた。3%のグループが生存できる可能性があった。生存した癌細胞は静注三日目より増殖を開始し、腫瘍微小血管の増加がこれに伴った。静注七日目には腫瘍細動脈、腫瘍毛細血管、腫瘍細静脈を備える成熟した肺転移巣へと成長した。これらの腫瘍微小血管にリンパ球は全く付着しなかった。(2)成熟肺転移巣に対し、生存率では無治療群が最も悪く、化学療法併用免疫療法群が最も良好であった。腫瘍微小血管の生体観察像では、化学療法併用免疫療法群のみに、腫瘍微小血管への抗腫瘍リンパ球の付着が見られた。末梢血リンパ球像では、化学療法併用免疫療法群で、単球、NK細胞、NKT細胞の増加が見られた。 【結論】腫瘍微小血管は腫瘍細胞をマスクし、抗腫瘍リンパ球の抗腫瘍効果を妨げる。抗腫瘍リンパ球の作用を発揮させるためには、腫瘍微小血管を破壊し、腫瘍細胞を露出させたうえで、免疫療法を加える必要がある。
|