研究課題/領域番号 |
09671393
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
鈴木 隆 昭和大学, 医学部, 助教授 (60118958)
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研究分担者 |
鈴木 秀一 昭和大学, 医学部, 助手 (80245860)
北見 明彦 昭和大学, 医学部, 助手 (20241036)
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キーワード | 気管気管支形成術 / 肺癌 / 気管癌 / 大網被覆 / 気管支移植 / 気管支上皮 / 走査電顕 / 代用気管 |
研究概要 |
【目的】肺癌・気管癌の手術のさいに気管・気管支の広節囲の切除が必要になることがある。このような症例に対する気管壁の切徐後の再建法の試みとして、自家肺葉から採取した遊離気管支片を用いて気管の欠損を補填する動物実験を行った。特に補填部の被覆に大網を用いた群と縦隔組織を用いた群とを比較した。 【方法・結果】雑種成犬に右開胸を行い上葉を切徐した。上葉の気管支を葉気管支から複数の亜区域支のレベルまで周囲の血管・組織と剥離し気管支を採取した。この樹枝状の気管支に幾つか長袖方向の切開を加え、隣接する気管支壁を縫合して可能な限り面状の気管支片を作製した。続いて右胸腔の下部気管壁を6-7輪、約1/3周切除した。この欠損部を先の上葉気管支から作製した面状の気管支片で補填した。縫合にはマクソン4-0を使用し、連続縫合を行った。A群10頭は被覆に有茎大網を用い、B群10頭は縦隔組織で被覆した。術後、時間を追って気管支鏡検査を施行し一部の犬を犠牲死させ剖検した。術後早期に剖検した結果では、B群の補填部にトラブルが多くみられた。経過中死亡した犬は、各一頭あったが部検するとA群は横隔膜ヘルニアによる腸閉塞、B群は縫合不全が死因であった。犠牲死せしめた犬の光学顕微鏡、走査電顕の所見では一時脱落した気管支上皮が時間とともに再生してくることが示された。この再生は大網被覆群で良好な傾向があった。 【考察・結語】気管支片の気管欠損部への自家移植は大網、縦隔組織いずれの被覆でも可能であったが、大網被覆がすぐれていた。本実験で広範囲の切除後の気管壁の補填に肺葉の気管支壁を利用することが可能なことが示された。
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