われわれは、通常の胸部CTの平均CT値を測定することにより肺気腫等の気腫性肺疾患のスクリーニングに応用し、さらに普遍的、一般的な呼吸機能測定法として応用した『CT肺機能測定法』の開発を目的とした研究を行ってきた。昨年度は、このシステムをヘリカルCTに応用する基礎的検討を行い、通常のCT(GE9800)で得た値が、ヘリカルCT(GE-HSA)も当てはまることを見い出した。すなわち、A200:-1024〜-200HU:肺野容量、A910:-1024〜-910HU:気腫部分の容量、この差および比は呼吸機能を反映する因子となる可能性があり、EVV:A200-A910およびIVR:A910/A200、以上のCT値を呼吸機能の指標に用いた。従来の検査法との比較では、肺がん症例32例を用いたスパイロメトリーとCT値の測定結果は、A910とFEV1.0、A200とVCに相関が得られた(p=0.032)。また、A910と%FEVl.0(p=0.0118)、IVRと%FEV1.0(p=0.0142)、IVRとV50(P=0.0227)、以上の間に相関が得られた。またフローボリューム曲線ではA910とV50(p=0.0139)に相関が得られた。従来のCTと比べ、測定時間は大幅に短縮し(110分vs12分)、3D画像を再構成することで画像が捕えやすいと考えられた。
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