【対象と方法】 1.Spirometryとの比較 平成10年度の研究 (1.Herical CT上の胸郭内臓器のCT値の測定)で得たデータを基にwindowを決定し、"Density Mask"programにより再構成することにより1)胸郭内容量、2)正常肺の容量、3)嚢胞性肺疾患の容量を測定し、従来の検査法であるSpirometryとの比較を行った。また、上記の対象症例のうち、肺切除予定の症例は同様の方法で1)切除肺容量、2)残存肺容量を計算した。この方法を用いて、術前の嚢胞性肺疾患をもつ肺癌患者23例を測定し従来の検査法と比較した。 2.換気・血流シンチとの比較と本法におけるパラメーターの設定 スパイロメトリー、フローボリューム、肺血流シンチと上記 (2.肺容量の測定)で得たデータを比較検討し、本法における呼吸機能を反映するパラメーターを設定した。 【結果】 1.Spirometryとの比較 スパイロメトリーとCT値の測定結果は、A910と%FEV1.0(p=0.0118)、IVR(A910/A200)と%FEV1.0(p=0.0142)、IVRとV50(p=0.0227)以上の間に相関が得られた。術後病理標本との比較では23例中19例(83%)は、CT値と一致した像を示した。しかし、残り4例は組織像と測定値が異なりさらに検討が必要であった。また、喫煙指数とA910との関係が示唆された(p=0.0522) 2.換気・血流シンチとの比較と本法におけるパラメーターの設定 血流シンチSPECTと、A200(p=0.053)は相関傾向を、IVRは相関(p=0.05)を認め本法は有効と考えられた。以上の検討から、呼吸機能の安全域を示すパラメーターとしてA200-A910≧3000を認めた。
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