昨年からの、実験の続きとして、成犬(ビーグル犬、体重7〜11kg)5頭を使用して、レーザーによる心筋血行再建術を施行した。また、昨年の生存犬の慢性期の、実験も併せて行った。術後1ヶ月時と3ヶ月時の心機能の検討をそれぞれ6頭と5頭で施行した。その結果、レーザー照射領域の局所心機能は改善しており、かつ3ヶ月時には、優位に改善していた。また、病理学的検査のために、犠牲死させた4頭の所見では、レーザーによる、新生血管は、認められるものの、連続した新生血管としては、確認されなかった。よって、現時点では、局所心機能の改善はレーザーによる新生血管再生によるものとは、結論でき得なかった。 一方、臨床で、心筋梗塞後狭心症に対して、レーザー血行再建術を施行した8例での、詳細な術後の検討では、心機能は、術後3、6、12ヶ月で、漸次良好な改善を示した。今後、この改善が、レーザーによる改善なのかどうかについて、次年度にかけて、厳密に検討してゆくつもりである。
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