成犬(ビーグル犬、体重6〜11kg)を使用して、レーザーによる心筋血行再建術の急性期から慢性期にかけての実験結果は、術後1ヶ月時と3ヶ月時には、レーザー照射域の心筋局所心機能は、改善していた。特に、3ヶ月時には有意に改善していた。しかし、犠牲死させた成犬の心筋組織には、はっきりとした新生血管の再生を確認できたものは20%(1/5頭)であった。6ヶ月後に犠牲死させた3頭の病理学的所見からも新生血管の再生と考えられる知見は、1/3頭に認められたのみであった。術後1年後の2頭に対する病理学的所見では、レーザーによると考えられた新生血管は認められなかった。なお、現在、5頭の慢性犬を経過観察中であり1年後に犠牲死させて、最終的な結論をだす予定である。よって、現時点では実験結果からは、局所心機能の改善はレーザーによる新生血管再生によるものとは、結論出来ていない。 一方、臨床の8例では、心筋梗塞後の狭心症に対して、レーザー血行再建術を施行しているが、これの症例では術後1年間で、漸次良好な心機能の改善を示した。しかし、症例により改善の程度には幅があり、この改善がレーザーによるものかどうかは、慎重に検討する必要がある。
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