研究概要 |
肺癌に対するHLA-クラスI拘束性癌特異的キラーT細胞株を多数樹立し、それの認識する肺癌拒絶抗原遺伝子を複数クローニングし、さらに同遺伝子のコードするペプチド抗原も明らかにした。即ち肺癌局所キラーT細胞株により認識される抗原など4種類の遺伝子(SART-3,Cyclophilin B, ART-1及びART-4遺伝子)をクローニングした。それらの各種癌における発現、新規の場合は生物学的機能及び、CTLにより認識されるエピトープ(ペプチド)、さらにCTL誘導能可能なペプチド同定した。以下その概略を記す。 1)SART-3ペプチド:SART-3遺伝子及び同抗原ペプチドを解析した。一方、各種癌におけるSART-3抗原の発現を明らかにした。 2)サイクロフィリンBペプチド:癌抗原としてのサイクロフィリンB及び同抗原ペプチドを解析した。 3)ART-1ペプチド:肺腺癌に高率に発現する新規のART-1抗原及びそのペプチドを同定した。 4)ART-4ペプチド:肺癌を含む殆どの悪性腫瘍に発現する新規のART-4抗原及びそのペプチドを同定した。 本研究により肺癌に対する特異的免疫機構の分子基盤が構築され、HLA-A24陽性癌に対するペプチドを基盤とした特異的免疫療法の可能性が大きく開拓されたものと考えられる。
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