研究課題/領域番号 |
09671403
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研究機関 | 愛知県がんセンター |
研究代表者 |
光富 徹哉 愛知県がんセンター, 研究所, 研究員 (70209807)
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研究分担者 |
高橋 利忠 愛知県がんセンター, 免疫学部, 部長 (00124529)
高橋 隆 愛知県がんセンター, 超微形態学部, 部長 (50231395)
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キーワード | p53 / MAGE3 / 肺癌 / 免疫療法 / 細胞傷害性T細胞 / HLA / ペプチド |
研究概要 |
1. HLA-A2発現肺癌患者におけるMAGE3遺伝子発現の頻度 【目的】MAGE3を発現する腫瘍細胞は、HLA-AlやA2拘束性の細胞傷害性T細胞(CTL)に認識、排除される。今回、肺癌症例において、MAGE-3の発現とA2の関係を検討した。【方法】57切除例において、MAGE3の発現をRT-PCRにて、HLA-A2はallele-spccific PCRによりgenotypingを行った後、抗class Iフレームワーク抗体を用いて免疫染色を行い、その発現を検討した。【結果】蛋白レベルでのA2発現は17例(30%)であり、この17例におけるMAGE-3発現は5例(29%)で、そうでない症例中のMAGE-3発現頻度19/40例(48%)に比してやや低かったが、有意差は認められなかった。【考察】MAGE3とA2を共に発現している肺癌に対して、MAGE-3特異的腫瘍免疫が既に生体内で成立し作動している可能性は低いことが示唆された。 2. 腫瘍抗原ペプチドを用いた細胞傷害性T細胞(CTL)の誘導 【目的】腫瘍関連抗原由来のペプチドを用いてHLA-A2健常人末梢血よりペプチド特異的CTLを誘導する。【対象と方法】抗原として1)アロ抗原(MLC)2)インフルエンザマトリックスペプチド3)MAGE3由来ペプチド4)p53ペプチド149-157または264-272を用いる。末梢血単核球を抗原提示細胞としてペプチドをパルスし、IL2存在下に培養。一週ごとに再刺激した後、細胞傷害性のアッセイを行った。【結果】1)アロ抗原に対してはET比10でも80%程度の細胞傷害性が得られた。2)インフルエンザペプチドに対してはET比203で30%程度であった。3)しかしながらMAGE3、p53に対しては有意な細胞傷害性は得られなかった。【考察】強い抗原に対してはわれわれの系でCTLが誘導されることがわかった。抗原性が比較的弱いと考えられるものに対しては、より強い抗原提示能を持つと考えられる樹状細胞の利用等を検討していきたい。
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