研究概要 |
成熟樹状細胞をもちいたHLA A24拘束性p53特異的CTLの誘導 抗原ペプチドとして、6種のp53由来ペプチド(1.p53-102(10),2.p53-235(9),3.p53-106(9),4.p53-125(10),5.p53-204(9),6.p53-204^*(9))を合成した。健康人PBMCにGM-CSFとIL-4およびTNFαを加えることにより、単球由来の成熟樹状細胞を作成し、これを抗原提示細胞として初回の刺激を行った。2回目以降の刺激にはPBMCを抗原提示細胞として使用した。細胞障害性はCyto Tox 96を用いて調べた。ペプチド2種類ずつを混合してCTLの誘導を行ったが、いずれのペプチドでも特異的なCTLの誘導はできなかった。次に成熟樹状細胞ではなく未熟樹状細胞をGM-CSFとIL-4によって誘導しこれを初回の抗原提示細胞として、P53-125(10)でCTLの誘導を試みたが、これでも細胞障害活性はみられなかった。さらに、β2mを加えることによりペプチドのMHC classI分子への結合を促進するという報告があるため、これに基づきCTLの誘導を試みたが、不能であった。最後に同様の方法で他のドナーからp53-106(9)、p53-125(10)、p53-204^*(9)特異的CTLの誘導を試みたが果たせなかった。従って、この6種類のペプチドにはその能力が無い可能性がある。一方、今回は健康人由来のPBMCを用いてCTLの誘導を試みたため、CTL前駆細胞の頻度が検出限界以下であった可能性もあり、今後担癌患者を含めたドナーの末梢血を材料としてCTL誘導を試みていくことが必要であると考えられた。
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