研究概要 |
本年度は脳血流の自動調節能における一酸化窒素(NO)の役割の解明を目的として研究を行なった。 ウイスターラットの頭頂部にマイクロダイアリーシス用プローブ、レーザードップラー血流計のプローブを装着し、脱血により体血圧を10mmHgずつ下降させ、脳血流、NO代謝産物(NO_2^-,NO_3^-)を測定した。また、我々が開発した循環予備能脆弱ラット(三血管閉塞ラット)においても同様の実験を行なった。 結果 1.生理的ラットにおいては血圧が50mmHgに低下すると、有意の脳血流低下を認めた。NOは血圧70mmHgより増加傾向を示し、60mmHgにおいて有意の増加を示した。 2.NO合成酵素阻害薬(N-monomethyl-L-arginine 30mg/kg)投与ラットにおいては、安静時のNO産生は低下し、血圧低下に対しても増加せず、体血圧が70mmHgより有意の脳血流低下を認めた。 3.三血管閉塞ラットにおいては、体血圧90mmHgより脳血流の低下を認め、NO産生の亢進も認められなかった。 以上より、脳血流の自動調節能にNOが関与していることが示唆された。
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