研究課題/領域番号 |
09671407
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
脳神経外科学
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
吉井 與志彦 琉球大学, 医学部, 教授 (50110507)
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研究分担者 |
伊藤 悦男 琉球大学, 医学部, 教授 (40031968)
斉藤 厚志 琉球大学, 医学部・附属病院, 講師 (40305199)
鶴嶋 英夫 琉球大学, 医学部, 助手 (50315470)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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キーワード | Glioma / 治療抵抗性因子 / ラジカル / 免疫組織学 / Clonality / apoptsis / oxidative stress |
研究概要 |
グリオーマに関しては、病理分子生物学的な面と治療効果の面とに於いてそれぞれのheterogeneityは多彩で、それが難治性の原因の1つにあげられている。我々のこれまでの研究から、少なくとも3種類のstemline(heterogeneity)があり、同一の腫瘍組織内にそれらが混在しうること、たとえ増殖能が同じでも治療効果が異なっていること、等が分かった。これらの成果は、腫瘍組織が各治療に対しても感受性のheterogeneity(治療感受性因子)を有していることを示唆している。一方正常神経・膠細胞は種々の障害に対して防御機構を備えているが、グリオーマ細胞は殊に、それら因子が異常に、強力に発現して治療に対して抵抗すると推定される。従って前者のstemlineの考えと防御因子による治療抵抗性を考え合わせてグリオーマ治療を考えると、個々の腫瘍細胞の持っている防御因子を量的に表現し、治療抵抗性のheterogeneityを知れば、治療法の選択が得られ、効果も予想され、酸化反応を中心に「グリオーマ細胞の治療感受性と増殖」を研究する必要があるという考えに到達した。平成9年-11年に於いて、(1)人脳腫瘍のstemlineの数と各防御因子の発現程度、予後との関連性の研究。(2)ヒトグリオーマ細胞株を用いたin vitro実験で、1)効果的な治療を得るための酸化反応の増強・抑制に関する研究、2)ラジカルによるグリオーマ細胞の増殖促進に関する研究。を研究分担者との協力のもとに行った。今回の研究に於いて、グリオーマは(1)単一クローンからなる腫瘍の場合には、S期細胞の出現量、SOD,GST-π、bcl-2の発現量が治療予後に関係する。(2)多クローンの場合には、S期細胞の出現量が低くても、SODが高い場合には治療予後が悪いと示唆され、stemcell lineの数、S期細胞の量、Cu/Zn SOD,GST-π、bcl-2の量が治療効果に反映されている。(3)単一クローンからなる腫瘍でも、治療によって、抵抗性因子を獲得する。(4)腫瘍組織内のheterogeneityと組織悪性度や、治療感受性、治療抵抗性因子獲得との関係を、遺伝子レベルで解析。さらに、このような機能性蛋白の発現の診断精度の向上が今後の課題であることを明らかにした。(5)また一方でフリーラジカルの産生を期待した治療法として、ビタミンK2の腫瘍細胞増殖抑制が期待でき、それがアポトーシスによるものであることも明らかにした。
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