研究課題/領域番号 |
09671409
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
岩立 康男 千葉大学, 医学部, 助手 (70272309)
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研究分担者 |
山浦 晶 千葉大学, 医学部, 教授 (40009717)
難波 宏樹 千葉県がんセンター, 医長
田川 雅敏 千葉県がんセンター, 研究局, 部長 (20171572)
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キーワード | Brain Neoplasm / Gene Thetapy / Antitumor Immumty / Major Histocoispastibility Complex / Herpes Sumpley Virus-Thymidine Kinase / IL-2 / IL-12 |
研究概要 |
脳腫瘍を含めた癌の遺伝子治療を成功させるには、当該遺伝子非導入細胞に傷害を与える戦略が必要になる。我々は、腫瘍特異的な免疫反応を増強し、脳腫瘍に対するワクチン療法を確立することを目標として研究を行っている。用いている遺伝子はHerpes Simplex Virus Thymidine Kinase (HSV-tk)遺伝子と種々のサイトカイン遺伝子である。 1)腫瘍細胞にHSV-tk遺伝子を導入することにより、主要組織適応抗原(MHC)のup-regulationを認め、脳内発育が遅延するクローンが存在した。このHSV-tk遺伝子導入細胞は抗ウイルス剤Gancivlovir(GCV)により完全に腫瘍細胞を殺傷し治療させることが可能であり、治癒の得られた動物に再び野生型腫瘍細胞を脳内移植すると、その増殖は有意に遅延した。 2)サイトカイン遺伝子としては、これまでにhuman interleukin-2(IL-2)遺伝子とhuman interleukin-12(IL-12)遺伝子を検討した。皮下のIL2導入腫瘍細胞はすべて拒絶された。脳内では、野生型腫瘍にくらべ明らかな増殖遅延を認めた(3週目腫瘍体積:野生型=286±51mm^3,IL2=42±33mm^3,p<0.05)。皮下のIL2導入腫瘍細胞を拒絶したラットの脳内に野生型腫瘍を移植した場合、やはり増殖遅延を認めた(同:92±57mm^3)。IL-12においては若干の腫瘍増殖抑制効果を認めるものの、その効果はIL-2より弱かった。また、このIL-12導入腫瘍細胞を脳内に移植した場合、随腔内播種の形で腫瘍増殖をみる場合が多く、そのメカニズムに関して今後の研究が必要である。CD4TII、CD8Tcell、マクロファージ、マイクログリア等の免疫担当細胞はいずれのサイトカインにおいてもその発現が増強していた。 以上の結果より、免疫学的寛容の場とされる脳内でも不完全ながら免疫学的防御機構が働いており、ワクチン療法の可能性が示唆される。
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