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1998 年度 実績報告書

悪性脳腫瘍患者における免疫抑制病態の解明

研究課題

研究課題/領域番号 09671414
研究機関山梨医科大学

研究代表者

長沼 博文  山梨医科大学, 医学部, 助教授 (90189142)

キーワード悪性グリオーマ / トロンボスポンジン / transforming growth factor-β / 免疫抑制
研究概要

悪性脳腫瘍患者での免疫抑制病態を解明することを目的とし研究を行った。悪性glioma細胞は、自身でtransforming growth factor-β(TGF-β)を活性化する機序を有し、腫瘍組織には活性型のTGF-βが存在して免疫抑制作用を示していると考えられる。平成9年度の研究の結果、悪性glioma細胞はthrombospondin-1(TSP-1)を産生し、TSP-1は悪性glioma細胞の産生するTGF-βの活性化に関与していることを示した。また、glioblastoma組織でのTSP-1の発現を免疫組織学的に検討したところ、陽性所見が認められた。以上のような結果をふまえ、10年度は、glioma細胞株でのTSP-1の発現とglioma組織での悪性度との相関を検討した。その結果、
1. 悪性glioma細胞株9株でのTSP-1,TSP-2 mRNAの発現をRT-PCR法で検討した結果、全ての細胞株でTSP-1 mRNAを発現し、7細胞株でTSP-2 mRNAを発現していた。
さらに、Western blot法で蛋白の産生を調べた結果、全ての細胞株で蛋白の産生および分泌が認められた。
2. 悪性glioma組織でのTSP-1の発現、およびTGF-β1,β2,β3の発現を特異的な抗体を用いて免疫組織学的に検討した。対象としたのは、glioblastoma11例、anaplastic astrocytoma6例,low grade astrocytoma8例であった。その結果、glioblastoma組織では強陽性、anaplastic astrocytomaでは陽性、low grade astrocytomaでは弱陽性であり、悪性度が高いほどTSP-1およびTGF-β1,β2,β3の発現が強く見られた。正常脳組織では陰性ないしごくわずか陽性であった。
以上の結果から、悪性gliomaではin vivoおよびin vitroでTSP-1,TGF-β1,β2,β3の発現が高く、潜在型TGF-βの活性化がTSP-1によって起こる可能性が示唆された。又、TSP-1の発現、およびTGF-β1,β2,β3の発現は組織学的悪性度と相関しており、腫瘍の進展に関与している事が示唆された。今後は、TSP-1が腫瘍細胞の浸潤に及ぼす役割についての検討が必要であると考えられる。

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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