(1)heat shock protein(HSP)70B promoterを用いた遺伝子発現制御機構の開発 Bluescriptをベ一スにHSP 70Bのpromoterでドライブされるインターフェロン-β発現プラスミドpBShsp-IFN-βを作製した。このプラスミドをリポソームに包埋した後ヒトグリオーマ細胞株U251-SPに遺伝子導入した。24時間後培養液を39°Cに加温して8時間インキュベートし、37°Cに戻してさらに40時間培養を続けた。その後培養液中のインターフェロン-βの産生量をEIAにて測定した。39°Cに加温した群では約40IU/mlのインターフェロン-βが検出されたが、加温しなかった群では2.5IU/ml以下と測定限界以下であった。次に磁性微粒子マグネタイトと同時にpBShsp-IFN-βをリポソームに包埋し、細胞内に導入後細胞をペレット状にして外から3850eの磁場を8時間あて再びシャーレにまき直した。40時間後インターフェロン-βの産生量をEIAにて測定し、その発現を確認した。 (2)Tet repressor systemを用いた遺伝子発現制御機構の開発 本年度はアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクタープラスミドpVLacZをべ一スにpVtetO-LavZとpVrtTAを調製し、ドキシサイクリンによる発現状況を観察した。ヒトグリオーマ細胞ではpVtetO-LavZとpVrtTAの比が1:50ないしは1:100で最も発現量が高いことがわかった。またこのときのバックグラウンドはわずかであった。次にpVtetO-LavZとpVrtTAをもとに組換え型AAVベクターを調製した。これをヒトグリオーマ細胞に感染させドキシサイクリンによる発現制御が可能であることを確認した。今後は発現状況や発現に必要な至適条件を検討する予定である。
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