研究概要 |
脳組織における神経細胞自身の虚血耐性現象の存在が知られているが,その細胞内機構については、いまだ不明である。本研究では、平成9年度に虚血耐性モデルを作成した。虚血耐性モデルとして,1)ラットspreading deppressionモデル(KCl脳表投与),2)砂ネズミ両側頚動脈10分閉塞モデル,3)砂ネズミミトコンドリア障害モデル(3-NP全身投与)を確立し,各モデルにおいて,その後の脳虚血における神経細胞虚血耐性現象を確認した。上記により作製した虚血耐性モデル1)において,現在までに,Caの動態を組織化学的に検討中である。モデル2)3)において,現在までにHSP family,Bcl-2 family遺伝子(Bcl-2,Bcl-x)の発現を検討中である。あわせてラット局所脳虚血モデルにおいて,thioredoxinによるredox controlにより脳虚血保護作用が獲得されること(J Cereb Blood Flow Metab 18:206-241,1998),脳虚血神経細胞死においてpoly(ADP-ribosyl)ationが関与していること(J Cereb Blood Flow Metab,in press),ラットミトコンドリア障害モデルにおいてapoptosis関連遺伝子が誘導されること(Neurosci Lett237:121-124,1997)を発表した。平成10年度においては,上記因子に加えて,NMDAレセプターサブタイプ(NR1,NR2A,NR2B,NR2C,NR2D),non-NMDAレセプターサブタイプ遺伝子(GluR2,GluR5,GluR6),ICEfamily遺伝子(ICE,Nedd-2,Yama/CPP-32),神経膠細胞における神経成長因子(GDNF,FGF,PDGF,VEGF,BDNF),血液脳関門構成蛋白であるocclusin,ZO-1,ZO-2の変化も合わせて検討する予定である。
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