研究概要 |
脳組織における神経細胞自身の虚血耐性現象の存在が知られているが,その細胞内機構については、いまだ不明である。本研究では、平成9年度に虚血耐性モデルを作成した。虚血耐性モデルとして,1)ラットspreading deppressionモデル(KCl脳表投与),2)砂ネズミ両側頚動脈10分閉塞モデル,3)砂ネズミミトコンドリア障害モデル(3-NP全身投与)を確立し,各モデルにおいて,その後の脳虚血における神経細胞虚血耐性現象を確認した(Neurosci Lett 259:9-12,1999)。上記により作製した虚血耐性モデル1)においては,Ca動態の組織化学的解析を行っている。モデル2)3)においては,HSP family,Bcl-2 family遺伝子(Bcl-2,Bcl-x)の発現と合わせ,MAPK familyの分子蛋白の変動を解析し,特にMAPK subfamilyと神経細胞虚血耐性との相関を証明し,現在投稿準備中である。すでにラット局所脳虚血モデルにおいて,thioredoxinによるredoxcontrolにより脳虚血保護作用が獲得されること(J Cereb Blood Flow Metab 18:206-214,1998;Ncurosci Lett 251:25-28,1998;Proc Natl Acad Sci USA in press),脳虚血神経細胞死においてpoly(ADP-ribosyl)ationが関与していること(J Cereb Blood Flow Metab 18:991-997,1998),ラットミトコンドリア障害モデルにおいてapoptosis関連遺伝子が誘導されること(Neurosci Lett 237:121-124,1997)を発表している。
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