研究課題/領域番号 |
09671426
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
脳神経外科学
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
久門 良明 愛媛大学, 医学部, 助教授 (80127894)
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研究分担者 |
大上 史朗 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (70213626)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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キーワード | cerebral ischemia / neurotrophic factor / growth associated protein-43 / water maze test / thalamus / ciliary neurotrophic factor / neuronal regeneration |
研究概要 |
自然発症高血圧脳卒中易発症ラットの中大脳動脈閉塞モデルを用いて、虚血側視床に生じる神経細胞死のメカニズムとともに虚血脳における神経栄養因子の果たす役割について、脳高次機能および神経再生の面より検討した。 (1) 虚血側視床では、カルシウム蓄積が虚血後3日目、4蛋白合成能低下が5日目からみられ、その後核障害を主体とした神経細胞死が緩徐に進行した。また、この神経細胞死が蛋白合成阻害剤の投与により軽減され、アポトーシスによる機序が考えられた。 (2) 虚血側視床では、虚血後3〜5日目をピークに、growth-associated protein(GAP)-43陽性の索状・螺旋状の再生軸索が発現し、これらは視床に投射する三叉神経脊髄路核および内側毛帯等の第二次感覚ニューロン由来と考えられた。このGAP-43陽性軸索の発現は、神経栄養因子ciliary neurotrophic factor(CNTF)の虚血直後からの脳室内持続投与により軽減された。 (3) CNTFを虚血直後から脳室内に持続投与することにより、皮質梗塞巣は縮小し、虚血側視床神経細胞死も抑制された。また、虚血後2・4週目に行われたモリス水迷路学習試験の結果、CNTF投与により有意に改善が得られた。 しだがって、虚血脳において、大脳皮質梗塞に投射繊維をもつ虚血側視床では、アポトーシスによる神経細胞死が生じており、それに反応して、視床に投射する第二次感覚ニューロンに再生機序の生じる可能性が示唆された。そして、神経栄養因子の投与により、視床神経細胞死が軽減され、再生機序は減少し、高次脳機能の改善が得られたものと考えられた。
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