研究概要 |
アルキル化剤により誘発される突然変異を抑制する酵素、O^6-メチルグアニン-DNAメチルトランスフェラーゼ(MGMT)には変異対立遺伝子V1(Leu84Phe),V2(Trp65Cys)が存在し、簡便迅速なMGMT多型遺伝子型タイピング法を開発した。そして脳腫瘍におけるMGMT多型のタイピングをおこなったところ、野生型遺伝子(W)と変異対立遺伝子V1とのheterozygoteが統計学的に有意に神経膠芽腫群に多くみられた。また、これら多型が悪性脳腫瘍の化学療法にどのように影響を与えるかを検討すべく、化学療法を施行し、治療効果判定可能であった神経膠腫28症例(多形膠芽腫14例、星状細胞腫+退形成性星状細胞腫14例)を検討した。治療に反応したものは変異対立遺伝子を含んだ遺伝子型の3症例であった。また、多型性MGMT遺伝子から生成される蛋白の性質についても検討した。in vitro,in vivoにおいて、V1 MGMT蛋白は野生型蛋白とほぼ同様の性質がみられたが、V2はin vivoにおいて非常に不安定であることが示唆された。
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