研究課題/領域番号 |
09671429
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研究機関 | 佐賀医科大学 |
研究代表者 |
峯田 寿裕 佐賀医科大学, 医学部, 助手 (20264187)
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研究分担者 |
田渕 和雄 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (50116480)
福山 幸三 佐賀医科大学, 医学部, 講師 (60238516)
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キーワード | Neuronal development / Qlial development / Differential display / Ena / VASP protein family |
研究概要 |
我々は神経膠細胞の分化に関与する遺伝子を解析するために、differential display法を用いて、oligodedrocyteとO-2A progenitorに発現するmRNAをサブトラクションし、それぞれの細胞に特異的に発現する遺伝子産物、すなわち分化前後で発現の異なる分子の単離を試みた。しかしこの二細胞系列間では、あまりに各種mRNAの発現が異なり、分化に関連すると思われる遺伝子を単離することが困難であった。そこで、我々は、生直後から生後20日までの新生児ラットの全脳をサブトラクションすることにより、神経系の分化に関連すると考えられる遺伝子、RNB6、およびそのヒトホモログであるhuman RNB6を単離した。RNB6の発現は胎生期より次第に増加し、正後1日目で最高となり、成獣になるに連れ次第に減少していく。抗RNB6抗体を作製し、ラット脳における発現を免疫組織化学的に観察すると、RNB6は神経細胞の細胞質で強く発現が認められ、神経膠細胞には認められなかった。またRNB6の発現は神経芽細胞腫細胞系列では多く認められるものの神経膠芽腫細胞系列ではほとんど認められなかった。繊維芽細胞にRNB6を強制発現しその細胞内分布を共焦点レーザー顕微鏡にて観察すると、RNB6はアクチンフィラメントの先端に一致した斑状の分布をしており、いわゆる細胞接着複合体の一部を形成していると考えられる。近年RNB6はEna/VASP protein familyという、細胞骨格制御にはたらく分子群の一員であることが分かったが、これまでの研究結果を総合的に考えると、RNB6は、神経細胞の分化段階で細胞骨格の制御において何らかの機能を有していると思われる。しかもその機能は周産期において特に増強するのであろう。RNB6が神経膠細胞にほとんど発現しないのは興味深いことであり、RNB6を神経膠細胞に強制発現させることにより、その分化を誘導できるかどうかを検討中である。
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