研究概要 |
[概要] (1) ポジトロンCTを用いて原発性脳腫瘍患者(n=7)の増殖シグナルに関連する[^<11>C]diacylglycerol(^<11>C-DAG)画像を捉え、悪性度(病理組織所見)との関連を調べた。結果はastrocytoma gradeIII,glioblastomaにおいて顕著な取り込みを示した。^<11>C-DAGの高い取り込みを呈した症例ではMRI所見上も急激な腫瘍体積の増加を認め増殖能評価に有用であることが明らかになった。 (2) 膠芽腫症例および中性子捕捉療法後の放射線障害(physical dose;12-19Gy)を示唆する症例とのシグナル伝達活性度を比較したところ、中性子捕捉療法後の膠芽腫症例ではMRI検査でGdエンハンスメントを呈し再発のように思われたが、シグナル伝達画像(^<11>C-DAG)、グルコース代謝画像(^<18>F-FDG)ともに明らかな取り込みは示さなかった。すなわちシグナル伝達活性が低く、グルコース代謝画像での活性も低い。この様な場合には放射線壊死と診断することが可能である。 (3) アミノ酸のトレーサである^<18>F-FBPAではradiation injuryの診断にはfalse positiveの可能性を含み、一方、グルコース代謝を示す^<18>F-FDGではrecurrenceにfalse negativeの可能性を含む。これらはPETに分解能の限界があるため、病変の大きさが鑑別時に考慮すべき重要な点となる。これらのトレーサに比し^<11>C-DAGを使用した場合にはspecificityが高く、混在例ではradiation injury、recurrenceの領域でそれぞれ(-)、(+)となるため^<11>C-DAGの陽性所見が部分的にも出現すればrecurrenceの領域が存在すると考えることができる。 [結論] 腫瘍再発と放射線反応性組織との鑑別にはシグナル伝達画像が有用である事が明らかになった。
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