研究概要 |
Microcystic meningiomaは、光顕的に多数のmicrocystから構成され、chicken wire様の組織像を呈する髄膜腫で、1993年、WHO分類に初めて、髄膜腫の一亜型として加えられた。研究代表者(角田 茂)は、本腫瘍の電顕的検索によりmicrocyst形成機序が、従来考えているような変性・壊死ではなく、正常クモ膜下腔を構成するarachnoid trabecular cellへの分化によるものであることを提唱した(医学のあゆみ151:75-76,1989,Brain Tumor pathol8:85-89,1991)。さらにarachnoid trabecular cellが正常クモ膜下腔においてもmicrocystic meningiomaにおいても同一の性格を有し、解毒酵素であるglutathione S-taransferase-πが免疫組織化学的に強陽性であることを発見して報告している(Neurol Med Chir 35:787-790,1995)。 近年腫瘍ゲノムDNAの新しい検索法としてrestriction landmark genomic scanning(RLGS)法が開発された。本法は、抽出したDNAを、Ecor V、Not1、Hinf1で切断後、2次元電気泳動をし、オートラジオグラム上で、ラベルされたDNA断片を、約2000個のスポットとして検出する方法である。すでにglioblastomaにおける検索を通し、本腫瘍にtype3が存在することを発見して報告している(Journal of Neuro-Oncology 34:203-209,1997.Journal of Neuro-Oncology 35:113-120,1997)。 現在microcystic meningiomaにおけるゲノムDNAの解析をすべく、症例を集め、髄膜腫におけるたの亜型との比較検討を始めたばかりであり、確定的な結論は得られていない。
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