研究概要 |
Microcystic meningiomaは、光顕的に多数のmicrocystから構成され、chicken wire様の組織像を呈する髄膜腫で、1993年のWHO脳腫瘍新分類ではじめて、髄膜腫の一亜型として加えられた。従来、このmicrocyst形成機序に関しては変性・壊死によるものと考えられていた。私は、本腫瘍の電顕的検索により、本腫瘍におけるmicrocystの形成機序が従来考えられているような変性・壊死ではなく、正常クモ膜下腔を構成するarachnoid trabecular cellへの分化によるものであることを提唱した。今回は髄膜腫においてRLGS法を用いてゲノムDNAの検索を行った。髄膜腫においてはすでにNF1,NF2,E-cadherin,(α,β,γ)-catenin,nm23などの関与について報告されている。我々の検索では、第14番染色体、第16染色体、第17染色体においてスポット変異を確認している。このなかで第14番染色体の変異はE-cadherinによるものであることが判明し、免疫組織化学的検索にても、microcystic meningiomaで強陽性所見を示すことがわかった。恐らく髄膜腫の分化に何らかの役割を果たしていると思われる。第14染色体と第17番染色体におけるスポット変異に関しては、現在クローニング中である。
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