研究課題/領域番号 |
09671444
|
研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
浅野 孝雄 埼玉医科大学, 医学部・脳神経外科, 教授 (70090496)
|
研究分担者 |
谷口 民樹 埼玉医科大学, 医学部・脳神経外科, 助手 (30275888)
森本 正 埼玉医科大学, 医学部・脳神経外科, 講師 (20230154)
松居 徹 埼玉医科大学, 医学部・脳神経外科, 助教授 (70199735)
|
キーワード | 局所永久脳虚血 / 一過性脳冷却 / 神経保護 / 復温障害 |
研究概要 |
実験的一過性全脳虚血における全身的低体温療法の保護効果は近年確立されつつある。しかし,永久脳虚血に対しては、未だ十分な知見は得られていない。本研究の目的は局所永久脳虚血に対して、一過性脳冷却が保護効果を復温後も維持し得るか否かを明らかにすることである。 ラットを全身麻酔下に、一側の中大脳動脈を穿通枝の近位で閉塞後切断した。6時間の脳のみの局所冷却を行い(対照群ではこの間正常脳温に維持)、同時に脳温・直腸温・血圧・血液ガス等の全身指標をモニタリングした。その後復温し一定期間飼育した。脳はすべて灌流固定の後、組織切片から梗塞巣を計測し、評価した。固定前に採血し、体液指標をも検討した。冷却には氷水を灌流した表面コイルを用いた。脳温は虚血後20分以内に32゚C台になり、冷却中は30〜32゚Cに維持された。復温には1時間を要した。脳保護効果は虚血後48時間までは確実に持続した。(梗塞体積は、冷却群では対照群の1/3に減少した。その保護効果は、虚血周辺部である大脳皮質のみならず、虚血中心部である大脳基底核にも及んでいた。)しかも冷却及び復温による、全身及び脳への障害については、著明なものは認めなかった。さらにこの保護効果は、虚血後1週間まで持続しそうである事も明らかにされた。 今後の展開として、(1)その効果は半永久的と考えて良いほどに、持続しうるものなのか(2)その為に必要な冷却の方法(プロトコール) (3)詳細かつ長期に検討しても、その副作用は無視しうるものであるか(4)冷却法の作用点はどこが中心となるのか、を明らかにする予定である。
|