研究概要 |
平成9年度は以下の実験を行った。方法:1、慢性硬膜下血腫の診断にて入院し手術を必要とする患者を対象とした。2、上記患者に対し血腫洗浄術を行った際に約5mm四方の硬膜付き被膜(外膜)を採取した。(1)得られた被膜の一部を免疫組織化学的にVEGF/VPF、flt,flk,factorVIII染色を行った。(2)ヒトVEGF/VPFのアンチセンスプローブとセンスプローブを作製し、DIGでラベル後、被膜の一部をin situ hybridizationしVEGF/VPFのmRNAの発現を観察した。(3)被膜の一部をsumple bufferで可溶化後SDS-PAGEを行い、Western BlotによりヒトVEGF/VPF蛋白発現を観察した。3、手術時に血腫腔内溶液を約10ml採取し、凍結保存とした。結果:1、VEGF/VPFは免疫組織化学的検討で被膜の血腫腔側に染まるものと、硬膜側に染まるもの,硬膜側血腫腔側両方に染まるもの、全く染まらないものに分けられた。また被膜内の好酸球の細胞質にも認められた。flt,flkはほぼ被膜の血腫腔側で染色されたが、血管内皮細胞や、時に硬膜側で染色されるものも存在した。2、in situ hybridizationでは被膜はアンチセンスプローブ、センスプローブ両者とも染まるため、現在方法論を検討中である。3、Western Blotでは発現が弱くVEGF/VPF、flt,flkの三者とも発現を確認できなかった。結論:慢性硬膜下血腫被膜にVEGF/VPFとその受容体の存在が示唆された。
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