研究課題/領域番号 |
09671448
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
塩原 隆造 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (20051352)
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研究分担者 |
近藤 新 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20276273)
各務 宏 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (80255471)
佐々木 光 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70245512)
矢崎 貴仁 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (80200484)
吉田 一成 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (70166940)
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キーワード | 神経細胞接着分子 / NCAM / 神経膠腫 / グリオーマ / 浸潤能 / 増殖能 / 逆相関 |
研究概要 |
悪性神経膠腫の治療を困難なものとしている最大の理由は、その著明な浸潤能にある。そして浸潤の基本的メカニズムとしては、(1)個々の腫瘍細胞の腫瘍本体からの離脱、(2)腫瘍細胞の宿主組織への接着、(3)腫瘍細胞が産生するプロテアーゼによる宿主細胞外マトリックスの分解、の3つのプロセスが重要である。神経膠腫において(1)のプロセスへの関与の可能性が報告されている分子は現在のところわずかにDCC(The deleted in colorectal cancer)のみであり、本来脳組織における発現量の多い接着分子であるN-cadherin,NCAM(neural cell adhesion molecule)のうちN-cadherinは文献上(1)のプロセスへの関与は否定されている。このような背景に基ずき、我々はまずNCAMの神経膠腫の浸潤能への関与を検討した。我々は既にWestern blottingによるpilot studyにて神経膠腫におけるNCAMの発現が腫瘍の悪性化に伴いdown-regulateされている可能性を指摘していたが、今年度我々はquantitative Western blot analysisおよびcryostat sectionにおけるimmunohistochemistryにより、ヒト神経膠腫におけるNCAMの発現は腫瘍の組織学的悪性度および生物学的悪性度に対し逆相関を示すことを確認することができた(Cancer,in press)。現在はrat NCAM 140kD isoformをヒトグリオーマ細胞T98Gに強制発現させることによる浸潤能、増殖能の変化を解析することにより、接着分子NCAMの腫瘍の生物学的悪性度への関与メカニズムについて検討中である。
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