研究課題/領域番号 |
09671448
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
脳神経外科学
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
吉田 一成 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (70166940)
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研究分担者 |
片山 真 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (90286493)
石森 久嗣 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30286489)
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研究期間 (年度) |
1997 – 2000
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キーワード | 神経膠腫 / 悪性 / c-Met蛋白 / 浸潤機構 / NCAM / Musashi / NGF |
研究概要 |
悪性神経膠腫に代表される悪性脳腫瘍の治療を困難なものにしている最大の原因は、その著名な浸潤性にある。ヒト神経膠腫において腫瘍の悪性化に関するkey factorと考えられた、癌原遺伝子産物であるc-Met蛋白に注目し、その活性化機構、細胞内シグナル伝達を解明し、c-met蛋白が、培養アストロサイトにおいて発現する事を明らかにし、脳障害の際に供給される各種サイトカインが、アストロサイトによるnerve growth factor(NGF)をはじめとする様々な神経栄養因子の産生もしくは分泌を増強することを明らかにした。さらに臨床的に低悪性群の神経膠腫において、c-Met蛋白陽性率と再発との間に相関が見られ、c-Met蛋白は神経膠腫のすべてのグループにおいて発現しており、神経膠腫においてはその悪性化のメカニズムではなく、浸潤にかかわる可能性を明らかにした。 また、アストロサイトに発現するneural cell adhesion molecule(NCAM)も、神経細胞の移動、神経突起の誘導・伸長などに関与しており、悪性脳腫瘍の浸潤発育におけるその役割は重要であり、神経膠腫においても悪性化機構に深くかかわっているものと考えられ、その悪性化に伴ってNCAMのそれぞれのisoformの発現は抑制されることを明らかとした。 また、多分化能を有する神経幹細胞、神経前駆細胞等において、その分化調節に深くかかわるとされているneuron specific RNA binding protein遺伝子群であるMusashiは、神経組織の成熟過程で発現し重要な役割を担っていることが報告されている。中枢神経系より発生する腫瘍の細胞起源はいまだ不明であり、その候補となるMusashiの発現を神経膠腫において検討し、遺伝子、蛋白レベルいずれでもMusashi1の発現が見られ、なおかつ、悪性度と相関が見られることを明らかにした。
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