研究概要 |
細胞分裂時に出現する紡錘糸を構成する微小管は、重合と脱重合を繰り返し、細胞分裂の際に重要な役割をはたすと考えられる。我々はラットC6グリオーマ細胞を用い、グリオーマ細胞の増殖に関与する因子の一つである微小管のdynamicsに関わる蛋白である、微小管付随蛋白microtubule-associated protein(MAP)をantisense oligonucleotideにより抑制することにより、C6グリオーマの増殖を抑制しうるかという点について検討した。<方法>微小管付随蛋白の代表的なものの一つであるMAP1Aの翻訳開始部位近傍の塩基配列に対する21merのantisense phosphorothioate oligonucleotideを合成し、C6グリオーマ細胞に投与した。oligonucleotideは、1mMの濃度でLipofectinと共に投与し、作用時間を、12時間および34時間の2群に分け、実験を行った。陰性対照実験として、sense oligonucleotideおよびscramble oligonucleotideを投与した実験を行った。5日間の培養後にcolony forming assayにてその効果を判定した。<結果>細胞数50以上の集団をコロニーとしてその数を数えた。MAP1Aのantisense,sense,scrambleの各phosphorothioate oligonucleotide投与群におけるコロニー形成数を求め、検討した。MAP1A antisense phosphorothioate oligonucleotideは、sense,scramble oligonucleotideのいずれに対しても有意にC6グリオーマ細胞のコロニー形成能は減少させることが示された。<考察>細胞分裂時に重要な役割をはたす微小管のdymanicsに関与すると考えられる微小管付随蛋白の発現抑制はグリオーマ細胞の増殖を抑制しうる可能性があると考えられた。
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