研究概要 |
前年までに我々はラットC6グリオーマ細胞を用い、グリオーマ細胞の増殖に関与する因子の一つである微小管のdynamicsに関わる蛋白である、微小管付随蛋白microtubule-associated protein(MAP)をantisense oligonucleotideにより抑制することにより、in vitroでC6グリオーマの増殖を抑制しうることを明らかにした。本年は本法のin vivoへの応用と増殖抑制の機序について検討した。<方法>1)MAP1Aに対するphosphorothioate oligonucleotide(antisense,sense,scramble)をラット大脳内に接種したC6グリオーマ細胞にミニ浸透圧ポンプを用いて1mMの濃度でLipofectinと共に投与した。各群で生存日数を比較した。2)in viboでoligonucleotideを投与したC6グリオーマ細胞を回収し、flow cytometryによりantisense,sense,scramble oligonucleotide投与の各群で細胞周期の同定を行った。<結果>1)MAP1Aに対するantisense oligonucleotide投与群ではsense,scramble oligonucleotide投与群に比し、有意な生存日数の延長がみられた。2)MAP1Aに対するantisense,oligonucleotide投与群ではsense,scramble oligonucleotide投与群に比し、有意なG1 arrestが生じることが示された。<考察>細胞分裂時に重要な役割をはたす微小管のdymanicsに関与すると考えられる微小管付随蛋白の発現抑制はin vivoでもグリオーマ細胞の増殖を抑制しうる可能性があると考えられた。またその増殖抑制の機序がG1 arrestである可能性が示された。
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