研究概要 |
マウスのグリオーマ細胞(SR一B10A)にマウスB7,マウスICAM-1を発現するプラスミドをリポフェクチ法を用いて導入し強制発現させた。この細胞を用いてマウス脳腫瘍モデルにおいてワクシネーション実験を施行したところ,治療モデルにおいては腫瘍増殖抑制を得ることが出来ず生存期間の延長は認められなかった。そこで次にこの抗腫瘍作用を増強させるためにインターロイキン12との併用療法を行った。まずグリオーマ細胞を脳内に接種5日後皮下に放射線照射した遺伝子導入グリオーマ細胞を接種した。次にインターロイキン12を隔日に14日間腹腔内投与し,生存期間を検討した。インターロイキン12単独では全く抗腫瘍効果が認められず,未治療群と生存期間において差は認められなかった。また,遺伝子導入グリオーマ細胞のみでも無効であったが,この両者,インターロイキン12と遺伝子導入グリオーマ細胞,を併用することにより,生存期間は有意に延長した。この抗腫瘍効果は長期にわたって持続し,70日以上生存したマウスの皮下に親株であるグリオーマ細胞を接種したところ,これらの細胞は生着しなかった。治癒したと思われるマウス脾細胞を用いてCTLの誘導を確がめるためにクロム放出試験を行ったところ,コントロールに比べて有意に高いCTL活性が認められた。
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