まず、放射線感受性プロモーターの効率を確かめるために、LacZ遺伝子を放射線感受性プロモーター下流に入れ、それをマウスのグリオーマ細胞(SR-B10A)に遺伝子導入させてその発現を観察したところ、発現効率は低く、放射線照射によるオンオフはあまり明らかではなかった。そのため、このプロモーターは今後使用せず、オンオフのない通常のプロモーター(CMVプロモーターなど)を用いることとした。 次にマウスグリオーマ細胞にIL-12ならびにCD40Lをそれぞれリポフェクチンを用いて遺伝子導入させた。これらはいずれもネオマイシン耐性であり、G418にて選択可能であった。IL-12の発現はELISAにて調べたところ、いくつかのクローンでIL-12の分泌が認められた。ここで得られたIL-12遺伝子導入細胞のtumorigenicityを調べるために皮下に腫瘍細胞を接種したところ、SCIDマウスでは親株と差はなかったが、同系マウスにおいてIL-12遺伝子導入細胞はほぼ完璧に拒絶された。CD40Lの発現はFACSを用いて検討した。CD40L高発現クローンを選択し、tumorigenicityを調べたところ、IL-12遺伝子導入細胞と同様にSCIDマウスでは親株と差はなかったが、同系マウスにおいて遺伝子導入細胞はほぼ完璧に拒絶された。現在、これらの遺伝子導入細胞とB7/ICAM-1遺伝子導入細胞を併用したワクチン療法をマウス脳腫瘍モデルにて検討中である。
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