研究概要 |
セファランチンとstaphylococcal enterotoxin Bの腫瘍内投与による抗腫瘍効果を,ラット可移植性骨肉腫S-SLMを移植したF344ラットを用いて評価した.肉眼的な大きさの肺転移巣をラット皮下へ移植し,移植後12,13,14日目に腫瘍内へ0.5mgのセファランチンと2pgのstaphylococcal enterotoxin Bを注入した.移植後28日目に全ラットをペントバルビタールの過剰投与により安楽死させ,移植した腫瘍と両側の肺を採取した.肺湿重量はセファランチンとstaphylococcal enterotoxin Bを投与した群で,セファランチン単独の群やstaphylococcal enterotoxin B単独の群にくらべ有意に低値で,肺転移が抑制されていた.肺転移巣内のアポトーシス細胞の数はセファランチンとstaphylococcal enterotoxin Bを投与した群で,セファランチン単独の群やstaphylococcal enterotoxin B単独の群にくらべ有意に高頻度に観察された.また移植腫瘍内のTRAP陽性多核細胞の数はセファランチンとstaphylococcal enterotoxin Bを投与した群で,セファランチン単独の群やstaphylococcal enterotoxin B単独の群にくらべ有意に高値であった.以上の結果からセファランチンとstaphylococcal enterotoxin Bの腫瘍内投与が,ラット可移植性骨肉腫S-SLM内にTRAP陽性多核細胞の浸潤を促し,S-SLMの肺転移を抑制すると考えられた.
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