研究概要 |
本年(平成10年)度も昨年と同様に、大腿骨・下腿骨を皮下に縫縮し、膝関節の屈曲拘縮を作製したラットの実験モデルを用い、以下の実験結果がまとめられた。 1, この動物モデルの膝関節に対し、40mW、60mWの低出力レーザー照射を行い、関節包、靭帯に対する影響を調べた。(文献1)これら一連の実験より、上記の物理的影響が膝関節拘縮の廃用性変化の防止、軽減に一部有効であることを示した。 2, 他方、強制走行させたラットにて、時間経過と共に骨密度がどう変化するか、大腿骨、脛骨、上腕骨にて調べた。合わせて大腿骨の3点曲げ試験と応力緩和試験も行った。走行運動後24週でも運動効果が残存した(文献2) 3, 拘縮を作った膝関節の内外側に設置した電極から20μA、50μAの直流定電流刺激を行った実験を検討した。関節包・靭帯などの軟部組織の拘縮変化軽減の効果と、関節軟骨面に対する効果、骨幹端部の骨密度への影響と比較し、力学的ストレス減少を補正可能かどうか、至適刺激条件を追求した。(文献3) 4, ヒトに対する電気刺激の効果をみるため、医学データベースを用いて無作為化臨床比較試験を収集、系統的レビューの手法に則って、その臨床的有効性を調べた。(文献4) 5, 容量刺激方式を用いた交流刺激装置を試作し、また膝関節への超音波照射による骨・軟骨に対する影響も検索中。 また、同様の動物モデルを用いて、軟骨下骨の組織的観察、電顕写真での骨梁解析、pQCTによる断面形状の計測を使った構造解析を引き続き計画中。
|