研究課題/領域番号 |
09671474
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
宗田 大 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (50190864)
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研究分担者 |
高久田 和夫 東京医科歯科大学, 医用器材研究所, 助教授 (70108223)
田中 順三 科学技術庁, 無機材質研究所, 総合研究官
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キーワード | Sリン酸三カルシウム(STCP) / ポリ乳酸共重合体(CPLA) / βTCP / CPLA複合体 / 生体吸収性膜 / 伝導性骨形成法(GBR) / 骨幹部骨欠損の治療 / 家兎尺骨骨欠損モデル / 軟X線撮影 |
研究概要 |
目的:骨欠損を人工材料にて効果的に治療する目的で、骨との良好な親和性と優れた形成性を併せ持つリン酸三カルシウムとポリ乳酸共重合体(TCP/CPLA)複合体を人工骨膜として使用する実験的検討を加齢の影響を加味して行った。 方法:体重2.5-3.0kgの日本白色家兎10羽(若年群)と4kg以上の家兎4羽(高齢群)を用いた。両側の尺骨の中央部に骨膜を含めて約1.5cmの骨欠損を作成し一方の欠損を板状のTCP/CPLA膜を円筒状に形成して骨膜様にして欠損部を覆った。他方を同様にCPLA膜で覆った。若年群では術後4週で2羽、8週で6羽、12週で2羽を屠殺し、高齢群では全例8週で屠殺した。屠殺後2方向軟X線撮影を行い、ホルマリン固定後組織標本を作成しHE染色とアザンマロリー(AM)染色を施した。軟線撮影とAM染色組織標本をコンピューター画像に取り込み骨欠損部の再生骨形成状態を半定量的に検討した。 結果:若年群。TCP/CPLA群では術後8週で軟線撮影像上全例骨欠損部は骨組織で架橋されていた。一方CPLA群では2例で骨欠損部の架橋が認められなかった。組織学的には術後4週でTCP/CPLA群では骨欠損部に骨形成が認められたが、CPLA群では1例では骨形成を認めなかった。術後12週では両群とも欠損部は骨組織で架橋されていた。術後8週のAM染色では切片上の骨欠損部のうちTCP/CPLA群では約%に、一方CPLA群では約%に骨形成が認められ、統計学的にTCP/CPLA群で有意に骨形成が進行していた。 高齢群。術後8週の軟線撮影と組織標本による評価でTCP/CPLA群で1例にのみ骨欠損部の架橋が認められたがCPLA群では1例も架橋していなかった。 考察およびまとめ:人工骨膜を用いて骨欠損部を修復する場合、骨との親和性が高いTCPを混合したTCP/CPLA複合体の方が優れた生体材料として臨床応用の可能性が高いが、高齢者では骨形成能が低いため骨誘導能を持たない材料での治療には限界があろう。
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