骨形成因子(rhBMP-2)の担体としてのヒアルロン酸ナトリウム(以下HA)の有用性についてラットにて検討した。まず、ラットの皮下に異なる分子量のHAを浸透させたTi fiber mesh implant(以下Ti implant)を移植し、HAが局所に存在する期間と濃度の変化、周囲組織への移行と分布状態を蛍光色素でラベリングしたHAを用いて検討した。分子量90万と200万のHAはともに移植後3日間で外へほとんど放出されたが、周囲の肉芽組織内には2週後も強い蛍光強度が認められたことから、放出された後も血中ならびに周囲軟部組織へ移行するHAの量は少なく、局所に残留しているものと考えられた。次に、高分子HAを浸透したTi implantとBMP徐放性Ti implantをラットの頭蓋骨表面、骨膜下に置いて、骨誘導能を確認した。移植後3週、6週でX線写真を撮影後、骨と一塊をして試料を採取し、光顕と透過型電顕で観察した。さらに、走査型電顕による観察とEDX法による骨化の分析も行った。rhBMP-2を添加したHAを浸透させると、Ti meshのfiber間にも骨新生が生じていたが、Ti implantのみを頭蓋骨骨膜下に移植した群ではTi mesh内には骨形成は見られなかった。この結果はrhBMP-2を含んだHAがTi fiber間で骨形成時に有効に作用することを示しており、rhBMP-2の担体としてHAは有効であることが示唆された。
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