まず、日本白色家兎の脛骨に直径3mmの骨孔を開け、これにCMキチン-ハイドロキシアパタイト複合形成体(直3mm、長さ0.5cm)、同様の大きさの金属タンタル、骨形成誘導体のコントロールとしてハイドロキシアパタイトをそれぞれ埋入した。術後6週の時点にて、脛骨を取り出し硬組織切片標本を作製し光学顕微鏡にて観察した。次に、巨大骨欠損充填材の開発目的で、日本白色家兎の両側前肢橈骨に長さ2cmの骨膜および骨欠損モデルを作製した。これに無作為に分けた高密度化CMキチン-ハイドロキシアパタイト複合形成体(直径5mm、長さ2cm)あるいはFGF(100μg/ml)浸潤高密度化CMキチン-ハイドロキシアパタイト複合形成体(直径5mm.長さ2cm)にて充填した。骨欠損充填家兎は、術後2週、4週、8週にて屠殺し、骨形成の程度につき光学顕微鏡にて観蔡した。(結果)家兎脛骨に埋入した充填材では、骨形成は金属タンタル、ハイドロキシアパタイトではほぼ同等の骨侵入が見られたのに対し、CMキチンでは生体内での反応が早すぎたためと思われる炎症性肉芽組織が多く見られた。このため、CMキチンを高密度化した材料を再度作製して骨欠損部位に充填した。巨大骨欠損に充填した高密度化CMキチン-ハイドロキシアパタイト複合形成体は、脛骨の時と同様に炎症性肉芽組織が多く見られ、骨癒合は形成されなかったが、FGF浸潤高密度化CMキチン-ハイドロキシアパタイト複合形成体充填群では4例中1例に骨癒合が得られた。従って、FGF浸潤高密度化CMキチン-ハイドロキシアバタイト複合形成体を骨次損に充填材として使用することは、周囲の環境などを整えることで骨癒合に有効に作用する可能性があると考えられる。
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