研究課題/領域番号 |
09671480
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
整形外科学
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研究機関 | 福井医科大学 |
研究代表者 |
馬場 久敏 福井医科大学, 医学部, 教授 (00165060)
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研究分担者 |
福田 優 福井医科大学, 医学部, 教授 (60079720)
古沢 修章 福井医科大学, 医学部附属病院, 助手 (60283173)
前沢 靖久 福井医科大学, 医学部, 講師 (00262634)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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キーワード | 慢性脊髄圧迫 / 前角細胞 / 神経栄養因子 / 免疫組織化学 / 形態学 / Morphology |
研究概要 |
【目的】慢性圧迫状態における脊髄機能の維持や神経細胞の生存メカニズムを明らかにするため、神経細胞の生存維持の可塑性に関与していると考えられる脳由来神経栄養因子(brain-derived neurotrophic factor;BDNF)、ニューロトロフィン-3(NT-3)の局在と発現を免疫組織学的に調べることを目的とした。【対象と方法】対象には、慢性、漸増性脊髄圧迫モデルである20〜24週齢のtiptoe walking Yoshimura(twy)マウス30匹と対照群としてその同系である.ICRマウス10匹を使用した。圧迫された脊髄を摘出し30μmの脊髄凍結横断連続切片を作製した。一次抗体には抗BDNF抗体、抗NT-3抗体を用いavidin-biotin complex法にて免疫染色を行った。さらにグリア線維酸性夕ンパクの免疫染色を行い、反応性アストロサイトの分布を調べた。【結果】圧迫群(twyマウス)は対照群に比べ圧迫部位においてBDNF、NT-3ともに弱い染色性を示したが、圧迫隣接部では逆にそれらを強く発現する傾向にあり、BDNFは前角細胞と介在ニューロン、NT-3は前角細胞に強い発現を認めた。白質では前索部の神経線維の分布は粗となりかつその径が太くなる傾向を示した。また高度の圧迫例では、白質内にBDNF陽性の星状膠細胞様細胞の出現を認めた。【考察】BDNFやNT-3は特異的なレセプターを介してニューロンに作用し、神経突起の伸長促進、生存維持、分化誘導などの活性を示す蛋白分子である。圧迫に隣接する部位でのこれらの免疫交叉活性の増加は、脊髄の生存維持のための二次的変化と考えた。圧迫性病変から逃れ得た前角ニューロンは、胞体面積や樹状突起の長さを増加させ、BDNFやNT-3の強い発現を示しつつ生存することが脊髄の可塑性の一機序であると結論した。
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