過去の当科における脊椎固定手術症例(頚椎)を、retrospectiveに調査し、正常脊椎配列に固定されたものと、配列異常をきたして固定されたものを比較し固定隣接椎間の変性に与える影響を検討した。 頚椎症や頚椎椎間板ヘルニアなどの変性疾患に対して施行した前方除圧固定術後5年以上経過して追跡できた42例についてX線学的に評価した。その結果、頚椎全体が後弯や逆S状位などのmalalignment症例12例中9例に、また固定椎間が後弯位に固定された13例中10例に、それぞれ固定隣接椎間の変性進行が認められ、それは、頚椎の生理的前弯位が保持されたまま固定された症例に比べて有意に多かった。つまり、脊椎固定手術において配列異常をきたして固定が成された場合、長期的に固定隣接椎間の変性が、促進されることが判明した。
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