研究概要 |
本研究は,軟骨の細胞外マトリックスのうちの主要な構成成分である II型コラーゲンの遺伝子の発現制御を通して軟骨の発生,分化を明らかにする目的で, II型コラーゲン遺伝子エンハンサーに結合する蛋白質の遺伝子クローニングを行い,そのDNA結合蛋白を解析した. 1.平成9年度までに, II型コラーゲン遺伝子エンハンサーに結合する DNA結合蛋白の候補のcDNAを4クローン得て,塩基配列, RT-PCR法による組織,発生段階別の mRNA発現を解析した. 2.すでに既知であった一つの蛋白(コンドロカルシン)について,軟骨での過剰発現トランスジェニックマウスを作成した.この導入遺伝子は,軟骨細胞で発現していることを,mRNAレベルで確認し,蛋白レベルでは,ウエスタンブロッティング,免疫組織学的解析により明らかにした.また,免疫電顕にて,軟骨細胞のrER内に発現し,また,軟骨細胞の核内にも存在していることを明らかにした.そのマウスでは軟骨の最終分化である石灰化に遅延を認め,形態的に小さかった.以上より,この蛋白が軟骨の最終分化段階にて石灰化に関与し,軟骨分化に積極的に作用していることが推察された. 3.この蛋白のinvivoでの機能を解析するために,マウス genomicクローンをプラークハイブリダイゼーション法を用いて得て,ノックアウトマウスを作成している.
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