研究概要 |
軟骨細胞の cDNA 発現ライブラリーを作成し,II型コラーゲン遺伝子のエンハンサーの塩基配列をもったオリゴヌクレオチドをプロープに用いてサウスウエスタンスクリーニングを行って新規のDNA結合蛋白質の部分cDNA を 4 クローンを得て,プラークハイブリダイゼーション,5'RACEを行いそれぞれcDNAを得た. (1)得られたクローンは,軟骨組織と神経系組織で組織特異的に発現していることを明らかにした.軟骨組織では,胎生14日ですでに発現し,胎生19日,生後2日,10日でも発現していた.得られたクローンをプローブにしてin situ hybridization を行い,マウスの17日の脊椎軟骨組織にて mRNAの発現を認めた. すでに既知であった一つの蛋白(コンドロカルシン;II型コラーゲン C プロペプチド)については,軟骨での過剰発現トランスジェニックマウスでを作成し,その表現型を解析した.その結果(1)II型コラーゲン C プロペプチド過剰発現トランスジェニックスマウスでは,胎生期軟骨組織で,正常より約4倍のII型コラーゲン C プロペプチドの mRNA の発現が確認され,免疫組織化学,免疫電顕にて,成長軟骨帯の細胞外マトリックスと軟骨細胞の細胞内,核内に存在することが証明された.このマウスでは頭蓋骨の変形や長官骨の短縮など内軟骨性骨形成の変化がみられた.成長軟骨帯での軟骨細胞での過剰な局在により,軟骨細胞の最終分化である肥大軟骨細胞の早期出現と,石灰化の遅延をきたした.このことが,本マウスにみられた長官骨の短縮など内軟骨性骨形成異状の原因と思われた. (1)新規の3クローンにつき遺伝子を明らかにするため,マウス genomic クローンを得て,一つのクローン(CSEBP-2)についてゲノム構造を明らかにした.CSEBP-2の遺伝子構造の解析の結果,ゲノム上では約8kbであり,coding region に 14個のエクソンを含むことがわかった.翻訳開始位置はエクソン2にあり,停止位置はエクソン11にあった.
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