健状人の随意的な重心移動がどの程度引き起こされるかを測定するため、若年(10〜20代)・中高年(40〜50代)・高齢(70代以上)の、著明な運動障害のない健常者を対象に、重心動揺解析システム(アニマ株式会社・G5500)を用いて、立位姿勢における随意的な最大体重心移動量を計測しているところである。重心移動の計測と同時的に、既存の3次元動作解析システムSIGHT-3D(酒井医療器株式会社)を用いて動作解析を実施し、さらに誘発電位検査装置MEB-5304(日本光電工業株式会社)を用いて下肢および体幹の表面筋電図を測定している。筋電図の生データは整流平滑筋電図に変換することによってより定量化させている。3次元動作解析システムによるデータをもとに、重心が前後・左右に最大に移動している際の身体各部のアライメントを検討し、どのように身体の平衡を保とうとしているかを運動学的に追求している。また筋電図の測定では、その際の姿勢および平衡を維持するためにどのような筋の活動が引き起こされているかを検討している。 本研究を遂行する上での現在の問題点は、重心動揺解析システム、3次元動作解析システム、そして誘発電位検査装置の測定データの同期が十分になされていないことと、測定できる筋電図が最大4チャンネル(4筋)に過ぎないことである。同期の問題はコンピュータ・マウスを工夫することにより測定の開始時期を同じにすることが可能となったが、時間軸のレベルを同一の幅に工夫できていない課題が残されている。また、筋電計のチャンネル数が過少であることの問題は、各関節毎に周辺筋を測定することによって関節毎に筋電図学的分析を試みている。
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