研究課題/領域番号 |
09671495
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
篠原 英記 神戸大学, 医学部, 助教授 (00187379)
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研究分担者 |
日高 正己 神戸大学, 医学部, 助手 (20294233)
米田 稔彦 神戸大学, 医学部, 助教授 (30252810)
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キーワード | 高齢者 / 静的立位平衡機能 / 動的立位平衡機能 / ステップ動作 / 歩行速度 / 身体動揺 / 足圧中心点移動 / 転倒 |
研究概要 |
目的:高齢者の立位バランス指標値と歩行速度の加齢の影響および指標間の関連を調べ、転倒の有無に関して差異を示す指標を検討することである。 方法:60〜80歳代の高齢者158名を対象とし、女性108名・男性50名の2群に分けた。静的バランス検査として、30秒間開眼と閉眼で閉脚立位姿勢を保持させ、床反力計を用いて足圧中心動揺の前後・側方の軌跡長を指標値とした。動的バランス検査では、20cm開脚立位で一側下肢を前方にステップし、元に戻す課題を行わせ、足圧中心の前後・側方の方向別の移動距離を指標値とした。歩行速度の指標は、各個人の自然な速さでの10m歩行の秒数とした。 結果:女性群では年齢との有意な相関性は、開眼・閉眼静的立位の前後足圧中心軌跡長と歩行秒数にみられた。また、歩行秒数と左足ステップの足圧中心前後移動距離に有意な相関がみられた。男性群では年齢との有意な相関性は、開眼静的立位の足圧中心前後・側方軌跡長と歩行秒数にみられた。また、歩行秒数と左右ステップの足圧中心側方移動距離に有意な相関がみられた。転倒・非転倒者間の比較では、女性・男性ともに年齢、身長、体重、Body Mass Indexに有意差はなかった。転倒率の男女差では女性に転倒が生じやすい傾内がみられた。女性転倒者で開眼静的立位の側方圧中心軌跡長の有意な増大がみられ、男性転倒者では右ステップの圧中心前後移動距離の減少傾向がみられた。 結語:年齢との相関分析では、歩行速度が有意に低下することが確認された。静的・動的バランス検査では、男女間で加齢の各指標への影響度が異なることが示唆された。検査指標間の相関分析では、歩行速度の低下とステップの足圧中心移動距離の減少が関連していると考えられた。転倒・非転倒者間の比較では、男女で差を示す検査指標が異なる可能性が示唆され、高齢者の平衡機能評価および転倒予防を考える場合、静的バランス検査に加えて、ステップ動作のような動的バランス検査が必要であることが示唆された。
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